税金・不動産ミニコラム

「企業財務会計士」導入見送り

公認会計士法の改正のひとつとして創設が検討されていた「企業財務会計士」が、議員提案により修正され、創設が見送られることになりました。

企業財務会計士は、いわば公認会計士の前段階ともいわれる位置づけの資格でした。
現行の公認会計士法では、試験に合格しても2年間の実務補修等を経ないと公認会計士として登録ができないのに対し、企業財務会計士は試験に合格した段階でその資格が認められます。

ただし、企業財務会計士は公認会計士と異なり、監査証明業務および税理士登録は認められません。

国際会計基準への対応など会計分野の重要性が高まるなか、アメリカ等と比べて少ないわが国の会計専門家の増加・育成等を考慮し、平成20年の公認会計士試験では約3600人の合格者が誕生しました。

しかし、監査法人が受け入れられる就職希望者の数にも限りがあるのに加えてリーマン・ショックの影響もあり、合格しても監査法人等に就職できない待機合格者の割合は、平成22年度合格者のうち約4割といわれるに至りました。

企業財務会計士は、その資格が付与されることで、試験合格者が会計のプロとして民間企業等に就職しやすくすることも創設の目的のひとつにあったようで、就職難の解決策のような制度の創設に疑問を投げかける声もあったようです。

今回の見送りによって、待機合格者へは別の対応が検討される見込みですが、国には今後の試験合格者数を減らすことで就職難の解消を目指す考えもあるようです。